「常に私も、音楽も生きているから、二度と同じ演奏はありません」
EXTONからマーラー「千人の交響曲」をリリースし、都響プリンシパル・コンダクター就任披露演奏会後、初の来日となった今回。ラヴェル、チャイコフスキー、ベートーヴェンと、マーラーとともに今後の同コンビの活動の軸となるプログラミングをひっさげ、各演奏会は大きな盛り上がりを見せました。来日中にインストア・イベントにも参加。演奏会では見られない、貴重な表情の数々も披露してくれました。
常に新しいマエストロ・インバル
今回、マエストロはラヴェルの「ダフニスとクロエ」全曲、チャイコフスキーの交響曲第5番、そしてベートーヴェンの交響曲第3番をメインに、それぞれ多彩なピアニストとのコンチェルトとプログラミング。クラシック音楽の大きなテリトリーである、フランス、ロシア、そしてドイツの音楽をそれぞれどう奏でるのか、大きな期待が寄せられました。
「常に私も、音楽も生きているから、二度と同じ演奏はありません」とおっしゃるように、マエストロ・インバルの演奏は膨大なレコード・カタログを誇るマエストロ故のそれぞれのレパートリーへのイメージをことごとく打ち破る、新鮮な驚きに満ちた演奏会ばかりでした。高い実力を誇る都響のサウンドもそれぞれ多彩で、マエストロの音楽に存分に応えました。
今後の来日予定にも定期的に組み込まれるベートーヴェンの交響曲第1弾となった「エロイカ」も、第1楽章からたくさんの「サプライズ」が。甘さのない重厚なサウンド構築のもと、要所要所で印象的なテンポの変化やアクセントがあり、2楽章の一切の無駄のない厳格で崇高な美しさ、3楽章の引き締まった筋肉質なスケルツォ、そしてアタッカで一気に突き進む4楽章。これが73歳を迎えるインバルのベートーヴェン!これからの都響とのシリーズを充分期待させる圧倒的な「エロイカ」でした。
また、チャイコフスキーでも新鮮な「インバル像」。遅めのテンポでの重厚な音楽の運びが圧倒的なフィナーレまで、途切れることなく突き進みます。全楽章ほぼアタッカ(一箇所、指揮台の調整のため)で貫通されたチャイコフスキーでした!
3月29日インバルがインストア・イベントに!!
マエストロ・インバルがタワーレコード渋谷に現る!音楽とオーディオ両面で活躍される評論家山之内正氏をMCに迎えて行われたトーク・ショー&サイン会。世紀のマーラー・エキスパートと目されるマエストロの貴重なマーラー観や「千人の交響曲」観など、貴重なお話が満載で、大いに盛り上がりました。山之内先生も、「大変に包容力が大きく、同時に新しいチャレンジにも躊躇いなく挑まれる姿勢に感銘を受けました」とおっしゃるように、御歳73才を迎えられる巨匠は若々しく生命感に満ち、音楽への飽くなき情熱と探究心を決して失わない、圧倒的な存在感を持っていました。
EXTONからの最新新譜「マーラー:交響曲第8番『千人の交響曲』」(OVCL-00379)も大変な好評です。ぜひ、今もなお、よりいっそう進化し続けるマエストロ・インバルの演奏を聴いてみてください!
マーラー:交響曲 第8番 「千人の交響曲」
エリアフ・インバル(指揮)東京都交響楽団
エリアフ・インバル(指揮)東京都交響楽団
澤畑恵美、大倉由紀枝、半田美和子(ソプラノ)
竹本節子、手嶋眞佐子(メゾ・ソプラノ)
福井敬(テノール)、河野克典(バリトン)、成田眞(バス)
晋友会合唱団、NHK東京児童合唱団