4月26-28日に秩父ミューズパーク音楽堂にて東京都交響楽団の首席オーボエ奏者広田智之のレコーディングを行いました!
これまでCRYSTONレーベルより4枚のソロ・アルバムをリリースし、実力人気ともに日本のトップ管楽器奏者となった広田智之が今回取り上げるテーマは「歌」。 収録曲はすべてR.シュトラウスの美しい歌曲です。 特に広田曰く「管楽器の演奏法でも歌に負けないくらい表現が出来る曲」という「4つの最後の歌」は、管楽器による世界初録音となります。
今回はとにかく音色にこだわりぬきました。 オーボエののびやかで多彩な変化を見せるサウンド、ピアニッシモの美しさ。 これらは歌の表現力以上のものです。 歌では表現しきれないR.シュトラウスの世界が広がってゆくようです。 また、レコーディング時のちょっとした合間に、YAMAHAの技術師がオーボエをこまめに調整。 些細なストレスもなくし、演奏者が自由に表現できるようにしてゆきます。 多くの方がこの美しい世界観を作るために協力してくれました。
今回収録したものは、昨年10月30日にサントリーホールで行われた広田智之と東京都交響楽団、アンドリュー・グラムス(指揮)による R.シュトラウスのオーボエ協奏曲とカップリングされる予定です。 R.シュトラウスの晩年の名曲2曲がオーボエによってつなぎあわされます。
今年の秋にリリース予定です。 ご期待下さい。
今回はR・シュトラウスの歌曲に挑んだ。
オーボエはあらゆる管楽器のなかでもとりわけ「歌」を受け持つことが多く、それがオーボエの魅力の中核をなす。 今回のように歌手にとって重要なレパートリーを演奏するにはそれなりの覚悟と勇気、若干の知恵が必要なのだが、オーボエだからこその領域であることは確かであろう。
シュトラウスの歌曲は母音をのばしてメロディを歌わせる、即ち器楽的な扱いをさせることも多くみられる。 おかげで歌詞を持てない器楽にもその魅力を減じることなく「音楽」を歌うことが出来るのだ。 共演の三輪郁の上質なロマンティシズムも大きな助けになった。
4つの最後の歌はオーケストラ伴奏ではなく、敢えてピアノ版を選んだ。旋律や和声の各声部をよりシンプルに本質を感じて頂きたいという意図がある。 発売は10月になるらしい。まるで自分の子の出産を待つ親の心境である。
広田 智之