オクタヴィア・レコードはこれまでにアシュケナージ、シドニー交響楽団と
ラフマニノフ、エルガー、プロコフィエフの交響曲、管弦楽曲の収録を2007年より行ってまいりました。
これまで全ての収録はシドニー交響楽団の本拠地でオーストラリアのランドマークとも言える、
シドニー・オペラハウスのコンサートホールで行われています。
マーラー没後100年を迎えるに当り、シドニー交響楽団では"Mahler Odyssey" と銘打ち、マーラー交響曲全曲演奏会を2010年より開始、オクタヴィア・レコードはその模様を収録しています。
これまでに1番&8番(2010年2月)、5番&大地の歌(2010年5月)、3番&4番(2010年11月)、6番&7番(2011年3月)と順調に収録を進め、今回9番と10番の収録を終えました。
マーラーが未完に終わらせた最後の交響曲第10番は、これまで数々の音楽家たちによって加筆された版が存在します。
今回、アシュケナージは当初クック版やカーペンター版での収録を念頭に入れていたようですが、クック版の最終稿を基にし、より大規模な編成のバルシャイ版を選択し収録となりました。
9番の収録はまさにマーラーが死去して100年目に当る命日である5月18日に演奏会初日を迎えました。
とりわけ4楽章最後の部分の荘厳な雰囲気は、演奏者のみならずコンサートホールの聴衆をも巻き込み、
最後の音が鳴り止んだ後も暫くの沈黙が流れ、マーラー最後のメッセージをホール全体が共有したかのような特別なものでした。
アシュケナージが終演後、「まるでマーラーが音楽を通して、(この世に)別れを告げてるようだったね…」と語っていたのが非常に印象的でした。
アシュケナージ/シドニー交響楽団とのマーラーチクルスも交響曲第2番「復活」を残すのみとなり、収録は2011年11月に予定されています。
数々の名演を聞かせたシドニー響とアシュケナージによる「復活」の収録が非常に楽しみです。